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名は体を表すとはいうが‥

キリヌーク

名は体を表すといいますが、文房具には目的が明確なネーミングの製品が少なくありません。それもたいていはダジャレ。文房具は他との機能差がパッと見ただけではわかりにくい物も少なくないので、ネーミングはストレートに機能が伝わる方が良いようです。そんななかでも今回ご紹介する製品はとりわけわかりやすい。その名も「キリヌーク」。新聞や雑誌の切り抜き作業に特化したカッターナイフ、重ねた紙束の一番上の一枚だけを切ることができる(厳密には、二枚目に全く傷を付けずにきるのは難いのですが、一枚目は完全に切れていて2枚目はほとんど切れていないと言う状態は十分に可能です)「一枚切りカッター」というジャンルの製品です。しかし重ねた紙の一番上の紙だけを切るって、何だか剣の達人っぽいけど、いったいどうやって切るんでしょう。今回はそんなカミワザカッターのご紹介です。



これまでの1枚カッター

詳細写真

実はこの「一枚だけ切りたい」という要求は、ずいぶん以前からあるようです。これまでにも「一枚切り」のためのカッターナイフは、数多く存在しています。その多くは、紙一重を切り抜くために、紙一重分だけ、刃を出すという方式です。本体の先端の紙に接する面から、ほんのわずか紙一枚分だけ出た状態で刃を固定してあります。なるほど紙一枚分だけ刃が出ていれば一枚だけ切れるのは当然・・のように見えて、実はそう簡単でもないのです。



紙一重ってどのくらい


そもそも、紙一重、とはどのくらいの厚さのことでしょう?紙の厚みはだいたい0.1mmぐらいです。100万円の札束をイメージすると想像しやすいかもしれません。刑事ドラマなんかで身代金として用意される札束のボリューム感。だいたい1cmぐらいに見えますよね。だとすると、1枚はその1/100だから、だいたい0.1mm。実際にはもう少し薄くて一般的なコピー用紙は0.09mm。雑誌などの紙はさらにもうちょっと薄く、積み上がった紙の一番上の一枚だけ切るということは、つまり上から0.1mm弱のところまで切るということになります。

しかし、切り抜きたいと思う紙がみんなコピー用紙と同じ厚さとは限りませんし、紙質も様々です。新聞や情報雑誌、クーポン雑誌などは薄くてスカスカした紙が多いですし、写真雑誌などでは、みっしりとした質感で厚みがあるものもあります。


ということで、計測器で量ってみました。
クーポン情報誌  0.05mm
Bun2               0.05mm
週刊情報誌        0.06mm
日経産業新聞     0.07mm
コピー用紙        0.09mm
週刊漫画雑誌     0.12mm
デザイン系雑誌  0.13mm


このように、その厚さはバラバラで、薄い物と厚いものでは2倍以上の開きがあります。 ということは、厚いものに合わせると薄い紙は2枚切れてしまうし、薄い紙に合わせると、厚い紙は傷は付いても切り抜けません。


しかも、刃の突出量は紙の厚み分出ていたとしても、先端部分がほんの少し斜めになるだけでも刃が浮いてしまったりすることも多く、うまくコツをつかまないとちゃんと切れなかったりもします。

上手な人は手加減で切る

この一枚切り、中にはこれができるという人もいて、そういう人は、特別な道具を使わなくても普通のカッターナイフをつかって、一枚だけを切り抜ける人もいますが、刃先に感覚を集中して、一番上の紙だけが切れるようにカッターの刃を紙に当てる強さをなんとなく調整しているんです。集中してだいたい同じぐらいの力加減で切れば、一枚切りはたしかに可能なのですが、つい気を抜くと、ズバッと切りすぎてしまうし、そもそも力加減が難しいので、誰にでもお勧めできる方法ではありません。

 

キリヌーク登場!

キリヌーク


そこでキリヌークの登場です。このカッターは、刃の突出量を調整するのではなくその絶妙な力加減をいつも同じようにしてくれるカッターナイフなのです。あなたは普通のカッターナイフと同じように刃を出して切るだけで、一枚だけを上手に切ってくれます。ポイントは、背面に付いている調節スライダーです。このスライダーはMaxからMinまで無段階にセットできるようになっていて、紙の厚さにあわせて調節します。厚い紙の場合はMax側へ、薄い紙の場合はMinがわにセットします。最初はこの調節を同じ紙の目立たないところで行う必要がありますが、スライダーの位置さえ決まれば、あとは何も考えなくても一枚切りができてしまいます。


 

刃がぐらぐら

キリヌーク

では、具体的にはどうなっているのか観察してみましょう。 刃は、通常のカッターと違ってカチカチと長く出てくる必要はないので、一段階しか出ません。スライダーをカチっと出すと、刃の先端が1.5mmほど顔を出します。ちょっとしか出ていないように見えますが、これでも紙一枚を切る突出量としては明らかに出過ぎです。しかし気をつけて触って見ると何だかぐらぐらしていて。押すと引っ込みます(危ないので手で触れないで下さい。やってみたい人は気をつけて綿棒などで触れてみて下さい)。


じつは、まさにこのぐらぐらがこのキリヌークのすごいところなのです。キリヌークの構造は、ぐらぐらと動くように留められた刃とそれを後ろから押さえるバネによって構成されています。刃は、バネによって適度にゆるく押さえられているので、紙に当てたときにはこのバネの力でちょうど紙が一枚切れるだけの力で押しつけられます。カッターを持つ手がどんなに力んで押しつけても、刃は完全に引っ込むことができるので、それ以上の力で紙に切り込むことはありません。また、先端がほんの少し斜めになったりしても、充分な高さまで刃が出るので、刃は紙におしつけられたままです。このため、突出量を調節するタイプと違って、使う人の手のブレや力のムラを吸収して安定させます。

 

絶妙の力加減をするバネ

キリヌーク


そしてもちろん、この絶妙の力加減をするバネがもう一つのポイントなのですが、構造は意外に簡単。板状の片持ちバネが一枚付いているだけです。このバネの力で刃を押し出しています。そしてこのバネをスライダーが押さえている形になっています。スライダーは凸部分がバネをおさえる形になっていて、スライダーを移動させると、バネを押さえる位置が変わります。バネは、スライダーに押さえられた部分より先しかしなることができません・根本付近を押さえた場合はバネ部分が大きく柔らかくしなるので、刃を押す力は弱くなり、先端付近を押さえると、しならないので押す力が強くなります。仕組みは単純ですが、この仕組みによって、使う人のコツいらずで簡単に一枚切りができるというわけで

 

重要なのはマットがいらないこと

キリヌーク


もちろんこの仕組みを使っても、一枚目だけを完璧に切って二枚目には全く傷を付けないのか、と言うとそれはかなり難しい問題です。実際には一枚目がきちんと切れているという状況では、二枚目にもキズがついてしまいます。一枚切りのカッターというのを聞くと、多くの人が、二枚目以降に全く傷を付けずに一枚目を切るところを想像しがちですが、雑誌などを切り抜く際には、そもそも切り抜いた残りは不要な場合が多いのです。実はこのカッターの本当の利点は、カッターマットが不要だ、ということなのです。雑誌などから必要なページを切り抜くときに、普通のカッターを使ってしまうと、よほど上手な人で無い限りはその下の数ページはかるくだめにしてしまうし、端の方のページだと、勢い余ってデスクに傷を付けてしまったりするかもしれません。だから雑誌の切り抜きでも本来なら必要なページをページごと一度破り取って、カッターマットに載せて必要な部分を切り出す、ということになります。自宅のデスクでも必要な部分を取り出すだけにそこまでするのはめんどうですし、それ以外の場所ならまずカッティングマットなんて用意してないのが普通です。そんな状況でも、このキリヌークなら、充分作業が可能です。もちろん2枚連続で切り抜きたいものが続くことはありますが、そのときは、間に不要なページを一枚破いて挟めば良いのです。普通のペラ一枚から切り抜く際にも、別の不要な紙を数枚下に敷いておけば、問題なく使うことができます。複雑な切り絵のような繊細な作業や段ボールの開梱のようなヘビーな作業には向きませんが、必要な部分を大ざっぱに切り抜きたい場合には高い機動力を発揮します。本体もとてもスリムなので筆記具と一緒にペンケースに入れて携帯することもできます。


 

替え刃が交換できる



一枚切りカッターは、当然、刃の先端のごくわずかな部分、紙一枚分しか使いませんが、当然そこは尖っていて薄くてとてもデリケートです。一般的な一枚切りのカッターは、非常に小さな突出量で固定しているので、刃の交換ができないか、できるものでも、刃を含む先端の固定部分全体を交換する必要があるものがほとんどです。それに比べてこのキリヌークは、刃そのものは一般のカッターナイフに近い単純な形状なので、交換も普通のカッターナイフに近い方法で行うことができますし、本体後部には替え刃を収納するスペースが設けられていて、刃を無くす心配がありません。(2枚付属)また、切れ味の若干の変化は、バネの強さの調節でカバーできるというメリットもあるのです。

キリヌーク

というわけで、ペンケースに入れておくと何かと重宝するカッターナイフキリヌーク、いかがでしょうか。 中のしくみに興味がある方には、中身が見えるクリアタイプをオススメいたします。


 

文具王の手書き解説書付き

文具王の文具店の購入特典付録として、
イラストも文も文具王の手書き原稿による解説書
「文具王の文具店の研究レポート」(A5版4ページ・色画用紙)を添付いたします。<非売品>

※画用紙の色などは変更になる場合があります。

 

キリヌーク

キリヌーク

 

キリヌーク替え刃


■キリヌーク替刃
型番 XB209B
定価 250円(税込270円)
販売価格

250円(税込270円)