007ALISYS

120年ぶりの進化

アリシス

2穴パンチといえば、地味だけれどオフィスで資料をファイリングするには欠かせない縁の下の力持ち。今のところ書類を綴じる最も簡便で普及した方法の一つです。しかし何十年も前から見慣れたこのパンチ、会社の備品として用意されていたり、ずいぶん昔に買ったものをただなんとなく使い続けていて、自分で選んだパンチを使っている人は少数派かもしれませんし、見た目も使い勝手もだいたい同じで、選ぶという発想自体あまりないかもしれません。実際、基本的な構造は日本にパンチが輸入され始めた明治時代からほとんど変化していませんでした。しかし、そんな2穴パンチにも革新は訪れます。今回ご紹介するパンチ「アリシス」も、一見すると従来のパンチと違いが無いように見えるかもしれませんが、基本構造が120年ぶりに進化したというのです。実際に分厚い書類などで試してみると、その使用感は、ちからずくでバチン!と紙を打ち抜く感覚というよりも、無理のない力でゴムのような弾力のあるものをゆっくり押し切るような、独特の切れ味が感じられます。ではいったい何が違うのでしょう?



120年ぶりの進化は2重テコ

詳細写真

またテコか、と思われるかもしれませんが、電気などを使わず人の力だけでいろんな力仕事をする道具にとって、テコの利用は基本中の基本。アリシスには、これまでにご紹介したバイモ11とはまた違った形で二重テコが搭載され、穿孔(穴あけ)に必要な力が半減しています。バイモ11の場合には、元々テコの原理を利用していない道具にテコの原理を導入しつつ本体をコンパクトに保つことが非常に重要な課題だったので、一度極端に大きくした力を少し戻す特殊な形のテコでしたが、パンチはもともとがテコそのものみたいな道具なので、これまでのテコの先にもう一つテコを挟んで、更に強い力を得る方式です。



1段目

ここでは穿孔能力35枚タイプをベースに説明します。一段目のてこでは支点から力点、作用点までの距離が97mm、17mmで、約5.7倍。ここまでは通常のパンチとほぼ同等です。そしてこの力で更に別のテコを押します。

 

2段目

二段目のテコは30mm/17mm(支点がスライド移動するので正確にはテコ比も変化する)で、約1.8倍になります。 その結果、5.7×1.8=10.26 約10倍の力で刃を推し進めていることになります。この2段目のテコによって、これまでのパンチの半分程度の力で穿孔できるということです。このテコがこれまでのパンチには無かった画期的な機構です。この2段目のテコのことを、カール事務器では、「アシストリンク機構(Asyst Link System」と呼んでいて、それが「アリシス(ALisys)」の名の由来です。


 

2重テコだけじゃなかった


このパンチ、もちろん120年ぶりに搭載された2重テコ(アシストリンク機構)は、素晴らしいのですが、アリシスの軽く柔らかい切れ味の秘密はそれだけではなさそうです。


貫通面積はステープラの比ではない


ガッチリと箱組みされたアリシスの骨格


最も負荷がかかる二重テコ部品は厚さ1.6mm

剛性の高いフレーム

まずはなんと言ってもその剛性と精度です。パンチというのは想像以上にタフで繊細な製品。たいていのパンチの見た目が少々ごついのは、物理的にそれだけの力がかかる製品だからです。円筒状の刃物を紙に押しつけてぐいぐいと紙に切り込んで貫通するのだからそれを支えるフレームにかかる力はすごいことになります。以前に紹介したステープラーVaimo11の場合貫通抵抗を減らすために針を細くするという方法を採りましたが、パンチの場合穴の直径は変えられません。単純に貫通する断面積だけで考えると、パンチは、ステープラーの針の188倍にもなります。


それでいてパンチには、ステープラーに劣らぬ精密製が要求されます。刃と穴の隙間はまさに紙一重、(いやもっと小さい)ステープラーよりもずっと大きな力を受けながら円筒状の刃物を穴の真上からまっすぐ押しつけて貫通させなければなりません。しかも、ほんの少しでもぶれると、キレイな穴が開かないだけでなく、最悪穴の縁に刃が引っかかってしまって欠けてしまう恐れもあります。ですから本体は机上用品の中でもトップクラスにガッチリしたつくりです。特にアリシスは、前述の二重テコのおかげで局部的にはこれまでのパンチ以上の負荷がかかってしまいます。ですから、二重テコの部分には、厚さ1.6mmという、国産高級車のフレーム部材にも匹敵する厚みのある部品を使っています。


大きく凹んだ刃

そしてもちろん、切れ味の良い刃は重要です。刃は円筒形ですが、非常に鋭利で先端部分は「くの字」にくぼんでいます。紙に刃が切り込む際に、一度に円周全体が当たると、抵抗が大きいので、最初は先端の2点があたり、そこから徐々に円周4カ所を切り進み、最後は2点で切り終わるようになっています。穿孔枚数が少ないパンチではこのカーブはもっと緩やかでも構わないのですが、35枚のコピー用紙を貫通する場合、約3.15mmの厚さを打ち抜く必要があります(コピー用紙の厚みは約0.09mm)この刃の先端の高低差は3.5mmあるので、最後の点が一番上の紙に接触したときには既に先端は紙を通り抜けていることになります。こうして刃の抵抗を減らす技術は以前の製品から引き継がれたものですが、流石に最新作、鋭利で美しい切れ味。パンチというと、無理やりぶち抜くイメージがある人も多いかと思いますが、実は関そうされた紙を「切り抜いて」進んでいると言った方が近い。(こんな繊細な刃ですから、紙以外の無理なものは切らないようにして下さい)

 

使いやすさは切れ味だけで決まらない


アリシスは、切れ味もすごいのですが、実際に使いながら観察してみると、細部までとても丁寧に使う人のことを考えた改良が加えられていて、まさにこれまでのパンチとは全く別物と言っても良いくらいの製品です。その違いを少し眺めてみてみましょう。






使わないときも大事

パンチは、もちろん穴を開ける能力が最も重要です。ですが、私がアリシスをオススメする理由はこれだけではありません。パンチ選びには、それ以外にも極めて重要なポイントがいくつかあります。その一つがハンドルロック。パンチは、どんなに使う人でも一日の中で使用している時間はごくわずか。ほとんどが待機時間です。ですから、使わないときにどの様に待機しているかでその利便性が大きく変わります。アリシスはハンドルが開いたままだと、ほぼ立方体の空間を占め、しかも上面は斜め、どこに置いても収まりが悪くて邪魔です。邪魔なものはついついどこかに追いやられ、いざ必要なときにはでてこない、ということになりがちです。そこでこのハンドルロックが効果を発揮します。ハンドルを閉じた状態でボタンを押すだけで簡単にロック。フラットな平たい形状になり、占有スペースは1/3程度に圧縮されます。


 

この状態なら例えば、深さのある中引き出しに立てて収納できます。手元に置いておければ、日常のほとんどの書類の厚さならいちいち総務や備品棚にパンチを取りに行く必要が無く席を立たずに側鎖業ができます。このロック機構の有無は、実はパーソナルとパブリックの境界だと思います。冬場の扇風機をみていつも思うのですが、使わない時間が長い道具には、使わない時間のデザインがとても重要だと思います。

 

 

ガイドは必須

 

もう一つ絶対に重要なのは中心あわせの用紙ガイドです。これがないと、紙をいちいち半分に折って折り目を付け、中心の▲マークに合わせなくてはなりません。今やオフィスで使う書類のほとんどはA4かA3。たまにB5とかがまざっても、ほとんど定型サイズ。ガイドは、ほぼ毎回使う機能ですから,絶対に使いやすい方が良い。なのに、多くの簡易パンチではその扱いは申し訳程度のものが多く、使う度にストレスを感じてしまいます。

 



アリシスについているガイドは本気で使いやすさを考えていることがよくわかります。まず、サイズが選びやすいこと。一般的なガイドの多くにはガイドに直接サイズが記号で刻印され、しかも長辺綴じと短辺綴じが業界用語(S=SIDE=長辺綴じ/E=END=短辺綴じ)で表示されていて、見づらく意味がわかりにくいものが多い中、アリシスのガイドは正面から白いラインで確認でき、サイズと穴開け辺の向きもイラストと記号でハッキリわかるようになっていて断然見やすくなっています。




そして、ガイドの位置。多くのガイドが台の下の面や、ステージの面からは一段下がったところから出てくるのに対し、アリシスのガイドは完全にステージの面と同じ高さから出てくるので、用紙が湾曲せずビシッとまっすぐ載せられます。きちんと測れるしとても気持ちがいいガイドです。




でも、イレギュラーなサイズのものや、ガイドを一杯に伸ばしたよりも大きな紙をセットするときなど、ガイドを使いたくないときもときにはあります。そんな場合には逆に邪魔になってしまうガイドの突き当ての段差は、使用しないときには、指で押せば下がり、簡単にフラットになるようになっています。






他のガイドと比較すれば一目瞭然。これならつかわないときにも邪魔になりません。




そして、フラットへのこだわりの強さは、ガイドを引き出したとき、普通ならガイドが抜けた分だけ穴が開いて段差になる部分も、ずっとフラットのままです。実はこのガイドには、キャタピラー状の「続き」が用意されていて、向きを変えてステージの下に収納されているのです。



 

 


ゴミ捨ても安心


ゴミを捨てるときも、大切です。多くのパンチの背面は、左のようにタッパーのフタみたいな柔らかい素材でできています。これは、フタとして機能しつつ机に傷を付けない素材として一石二鳥ですが、ゴミを捨てるときにうっかりすると、途中から勢いよくフタがはずれてしまい、パンチ屑が散らかってしまう危険性があります。そこでアリシスのフタは、本体に固定式、上半分しか開かないようになっています。これならフタを開けてからうっかり手を滑らせて落としてしまったとしても、ほとんどパンチ屑は外に出ません。きっと焼きそばの湯切りから発想したに違いない・・と私は思っています。


もちろん、120年ぶりに改良されたテコによって、穴が楽に開けられることは、パンチとして重要です。でも、ほんとうに使い勝手の良い道具というのはそれだけではないと確信できます。このパンチを設計した人は使う人の行動についてよくわかっている。比較される能力だけではない、小さな工夫の積み重ねが、使い勝手を磨き上げています。ただ穴を2つ開けるパンチに、こんなにもこだわりと愛情が詰まっていることに嬉しくなってしまう逸品です。

 

文具王の手書き解説書付き

文具王の文具店の購入特典付録として、
イラストも文も文具王の手書き原稿による解説書
「文具王の文具店の研究レポート」(A5版4ページ・色画用紙)を添付いたします。<非売品>
プレゼントに添えたり、誰かにアリシスの凄さを自慢したいときなどに御使用下さい。
※画用紙の色などは変更になる場合があります。

 

アリシス35

穿孔能力  35枚(コピー用紙)
サ イ ズ   W134×L125×H117mm

(ハンドルロック時H54mm)

重    量  480g
 

アリシス35

 

アリシス20

穿孔能力  20枚(コピー用紙)
サ イ ズ   W134×L101×H94mm   

(ハンドルロック時H45mm)

重    量  340g
 

アリシス20

 

アリシス16

穿孔能力  16枚(コピー用紙)
サ イ ズ   W120.5×L73.5×H71.8mm

(ハンドルロック時H39mm)

重    量  240g
 

※16枚タイプのみ、用紙のセンター合わせに使うガイドが本文中に説明したものと異なります。ステージ面より下からでてきますが、とても見やすい印刷になっています。ガイドの端は、構造は異なりますが、使用しないときはフラットになります。

■アリシス 16枚
型番 LP-16
定価 650円(税込702円)
販売価格

650円(税込702円)

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